VisteonがMiR200自律型移動ロボットで物流を最適化

Visteonは、世界中に工場を持つ、自動車業界における世界最大手のサプライヤーの一つです。屋内物流は製造プロセスで重要な役割の一角を担うため、材料搬送の最適化は企業戦略に不可欠な要素となっています。現在、スロバキアのナメストボを含む、世界中の7か所のVisteonの生産施設で、MiRのモバイルロボットが使用されています。

問題

Visteon Electronics Slovakiaは、フォルクスワーゲン、シュコダ・オート、BMW、フォード、シトロエンなど、複数のOEM自動車メーカー向けにコックピットデスクを製造しています。同社はコックピットデスクを1日1万台生産し、毎年200万以上の製品を出荷しており、3シフト制で勤務する700名の従業員を雇用しています。

屋内物流を手動から自動化へ

ほとんどの業界と同様に、自動車業界の企業は世界規模で激しい競争に直面しており、自動車サプライヤーは、納期厳守、高品質、コスト効率の要求という、OEMからの絶え間ないプレッシャーにさらされています。材料を納期通りに指定された品質と数量で提供することは非常に複雑であり、最大限の精度と柔軟性が求められます。Visteonでは、倉庫に標準的な電子情報を送信し、瞬時に必要な材料を作業現場に届けることでこれに対応しています。

数年前、同社では作業員が操作する手動のパレットリフトを使用していましたが、これらは磁気ストライプで移動する無人搬送車(AGV)によって置き換えられました。しかし、AGVは生産レイアウトやインフラを変更する必要がある場合に、多くの時間と費用を要します。このプラットフォームは、一定のペースで新しい生産セルを導入する必要がある、アジャイルで柔軟性の高い作業環境に準拠するインダストリー4.0に適したシステムで、すぐに置き換えられることは明白でした。このため、Visteonは自律型移動ロボット(AMR)の技術の検討を開始しました。

Visteon Electronics Slovakiaの産業エンジニアマネージャーであるRichard Čiernik氏は、次のように述べています。「当社がモバイルロボットの検討を開始した理由の一つは、我々の業界の未来を象徴する新しいインダストリー4.0でした。

この時点で、MiRの技術は当社にとって理想的なソリューションでした。そして、MiRはVisteonの屋内物流の世界的な標準となっています」

3種類のタスク、4台のMiR200ロボット

Richard Čiernik氏は、次のように述べています。「他の成功を収めている企業と同様に、当社は製造効率と労働生産性を継続的に評価しています。MiRの技術は、2つの地点間における手作業による材料の搬送の必要性をなくすことで、当社の取り組みに大きく貢献してくれています。当社の施設では現在、SMTラインへのPCBの供給、廃棄材料の回収、完成したプラスチック部品の搬送という、3種類のタスクのために4台のMiR200が稼働しています」

1時間ごとに、2台のMiR200ロボットが空のPCB基盤を9つの自動SMTラインに配送し、そこで基盤に電子部品が取り付けられます。さらに、1台のロボットが、オペレーターがロボットの上に置く廃棄材料を収集し、作業現場をすっきりと保ちます。4台目のロボットは射出成形施設で稼働し、必要に応じて3台の生産機械を支援します。オペレーターはタブレットで定義済みのボタンを使用し、簡単にロボットを呼び出せます。すべての物流業務は、統合型の倉庫管理システム(WMS)と連携して管理されます。

モバイルロボットは現在、週5日、24時間稼働しており、2種類のトップモジュール(固定ラックと着脱式の台車)を搭載しています。これはROEQがMiRモバイルロボット用に特別に設計したモジュールであり、搬送される荷物の取り扱いを容易にします。台車のトップモジュールはクリックイン機構を採用しており、システムが台車を回収・解放できるようになっています。

完全な自律的運用

MiRのモバイルロボットは製造施設内で完全に自律的に稼働し、Wi-Fiモジュールを使用したドアの開放、トンネルの通過、障害物の回避、定義された位置での停止、自動充電を行うことができます。ロボットは障害物が存在する場合に定義された経路を評価し、人の介入を必要とせずに常に最適な経路を選択できます。さらに、MiR200ロボットは、静電気放電(ESD)からの保護が必要な電子部品製造の規格に準拠しています。

Visteonの従業員はモバイルロボットを歓迎しました。当初、従業員は安全性の問題を多少心配していましたが、ロボットが移動する様子を目にし、ロボットが人を認識して移動を変更できることに確信を得た後は、すぐにロボットを受け入れました。従業員は付加価値の低い過酷で単調なタスクから解放されるという点で、ロボットのメリットを実感しました。使いやすさ、プログラミングの容易さ、物流業務での柔軟性の向上が、従業員とMiRロボットのスムーズな連携を実現しています。

Richard Čiernik氏は次のように述べています。「MiRロボットは、主に単純なタスクと単調なタスクという2つの分野で、作業に関するメリットをもたらしてくれます。それらのタスクは、ロボットによって行われるので、コスト削減につながります。また、身体的負担の点では、作業員が自ら肉体的にきつい作業を行わずとも、正確な時間に快適に材料が供給されるため、非常に有益です」

1年以内に投資を回収

製造の運用面では、MiR物流ソリューションは3つの主なメリットをもたらします。1つ目は柔軟性です。Visteonはレイアウトの変更を最小限にとどめたまま、複数の作業現場で同じタイプのロボットを様々な用途に使用できます。2つ目は迅速な導入です。プログラミングのスキルや知識がなくても、ロボットを素早くプログラムできる使いやすい機能によってそれが可能となります。あらゆるアプリケーションが、機能的で視覚的に魅力的なグラフィカルインターフェイスでプログラミング・微調整できるため、プログラミングのタスクを非常にシンプルに実行することができます。そして3つ目は、あらゆるエンドユーザーにとってロボットが使いやすく直感的であるということです。生産現場のオペレーターは、ボタンを1回クリックするだけで、ロボットの到着を要請できます。

しかし、Visteonでの新しい技術への投資においては、最終的な利益が最も重要となります。Richard Čiernik氏は次のように結論付けています。「生産への投資はすべて、1年以内に回収できなければならないというのが当社の基本方針です。MiRロボットはこの要件を満たしています。当社はMiRのさらなる応用を通じて、未来を共有することを楽しみにしています」

近い将来、Visteon Electronics Slovakiaは、特に廃棄物の回収、材料の供給、完成品の搬送などの用途向けに、既存のモバイルロボットのフリートをさらに多くのデバイスで拡張する予定です。これらの計画は、VisteonにおけるMiRロボットの実証された成功体験に基づいています。

MiRロボットは、主に単純なタスクと単調なタスクという2つの分野で、作業に関するメリットをもたらしてくれます。それらのタスクは、ロボットによって行われるので、コスト削減につながります。また、身体的負担の点では、作業員が自ら肉体的にきつい作業を行わずとも、正確な時間に快適に材料が供給されるため、非常に有益です。

Richard Čiernik

Visteon Electronics Slovakia、産業エンジニアマネージャー

Visteonについて

Visteonは業界でも最も幅広いコックピット電子部品群を揃え、コネクテッドカーの運転で革命を起こす中心的な存在です。Visteonは、ドライバーと乗客に豊かで接続された体験を提供する、自動車のコックピット電子部品とコネクテッドカーソリューションを設計、開発、製造しています。Visteonは、Phoenix™インフォテインメント、SmartCore™ドメインコントローラー、人工知能と機械学習を活用した自律運転アプローチなどのソリューションを備え、新しいコックピット電子部品のトレンドに対応する態勢を整えています。ABI Researchによって、コネクテッドカーソリューションのTier 1サプライヤー上位5社に選ばれた、技術主導型で高い柔軟性を備えたVisteonは、多様な顧客基盤を有し、広範なグローバル展開を行っています。詳細は、こちらをご覧ください:www.vistion.com