TE Connectivity、ハンガリー

6台のMiR200がTE Connectivityのハンガリー工場で屋内ロジスティクスを改善

ハンガリーのエステルゴムに位置する工場は、フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなど、世界的な自動車サプライチェーンへのTier 2サプライヤーとして運営されています。1日に数千万もの完成品を生産する同工場の屋内マテリアルハンドリングシステムは、6台のMiR200自律型移動ロボット(AMR)のフリートが支援しています。これらのAMRにより物流プロセスが加速され、生産性が向上しています。また、使いやすいMiR Fleetソフトウェアにより、ロボットのフリート全体を簡単かつ効率的に管理できるようになっています。

屋内物流の課題

TE Connectivityは、受動電気コネクタとコネクタハウジングを製造する工場のマテリアルハンドリングシステムに問題を抱えていました。こうした非効率性は労働力不足でさらに悪化し、付加価値の低い倉庫オペレーターの職に対する興味が急激に失われ、欠員の補充が徐々に難しくなっていきました。TEの企業目標には、そうした問題の緩和に役立つインダストリー4.0主導の変革が含まれていました。この目標への第一歩は、ロボットで屋内物流を自動化することでした。

工場の旧態化したマテリアルハンドリングシステムを置き換えるため、TE Connectivityは市場で入手可能な選択肢を検討し始めました。同社は、工場の移動経路が狭く、屋内のレイアウトやタスクが頻繁に変更され、原材料、完成品、人が常に行き来するため、変更や拡張がシンプルでありながら、簡単に運用できる柔軟なシステムを必要としていました。

2種類のタスクを担当するロボットフリート

TE Connectivityで継続的改善アナリストを務めるGábor Miszler氏によると、選択肢として検討されたのは、無人搬送車(AGV)とAMRの2つでした。

Miszler氏は次のように述べています。「当社がソリューションを探し始めたとき、AGV市場は活況を呈しており、AMRシステムはまだ知られていませんでした。AGVはフロア上の磁気テープや表面下のワイヤーなど、固定されたインフラが必要であるため、変化の激しい環境においては、最適な選択肢ではありません。自律稼働のため、AMRははるかに高い柔軟性を備えています。そしてこれは、現代の製造環境にとって非常に重要です。MiRを見つけた後、次のステップは現地の販売代理店を探すことでした。このプロセス全体を通じて、VFP Systems Ltd.は非常に信頼できるパートナーであることを証明しました。プロジェクトの開始時、彼らは当時の漠然とした当社のアイデアを定義し、理想的なロボットソリューションを見つけるのをサポートしてくれました」。

エステルゴム工場は、主に2種類のタスクを実行するために、6台のMiR200のフリートを購入しました。それらAMRのうち5台は、倉庫と所定のバリューストリームとの間で原材料と完成品を供給します。また、TE Connectivityは、MiRロボットとシームレスに連携するROEQの台車、300Eを使用しています。

特殊なカスタムモジュールが取り付けられた6台目のMiR200は、完全に自動化されたセットアップで動作します。射出成形機の横にある自動梱包ステーションでは完成品を数え、貯蔵室が満杯になると自動的にロボットを呼び出します。任務の一環として、MiR200は空の箱をピックアップし、満杯の箱で置き換え、箱を搬送して倉庫に保管します。従業員がMiR Fleetソフトウェアを使用して、ロボットを直接セットアップして起動すると、それ以降は人が一切介入する必要がありません。このプロセスは、生産条件下でのテスト済みの、自動化された高層倉庫の試作版です。

安全で柔軟性の高いモバイルロボットが屋内ロジスティクスを強化し、人的資源の配分を最適化

新機能の模索

AMSの主なメリットは、所望のタスクに応じて様々なトップモジュールを搭載できるという、その非常に高い柔軟性です。TE Connectivityはコンパートメント、棚、コンベアベルトを備えたトップモジュールを使用しているほか、牽引フックのテストも行っています。テストを継続することで、AMRの他の用途が特定されます。

TE Connectivityの物流アナリストであるGábor Schvamberger氏は、次のように述べています。「このプロジェクトは当初、屋内ロジスティクスへの単純な投資として始まりましたが、時間が経つにつれ、より広範なパイロットプログラムへと変化しました。当社の目標は、グローバルなグループ企業内の他の拠点にも導入できる、最も効率的な技術ソリューションを見つけることです。これを達成するため、当社はMiRおよびハンガリーの販売代理店と緊密に協力し、現在開発中の新しいロボットソリューションをテストしています。例えば、運用条件下において、ロボットの移動を支援するために人工知能ベースのソフトウェアとウェブカメラを使用するシステムをテストしています。同時に、当社は複数のタイプのロボットを活用していますが、AI技術により、MiRロボットはそのエリア内にAMR以外のタイプのロボットが存在することを検出して、衝突を回避できます」。

AMRが持つもう一つのメリットは、積み降ろしエリアと充電ステーションを設置した後、MiRロボットでは生産エリアで一切変更の必要がなかったということです。

迅速な従業員オンボーディング

MiR200を毎日使用する倉庫作業者は、任務の開始方法やロボットの操作方法を学ぶための基本的なトレーニングを受けています。現在、各シフトから2名の従業員がトレーニングされており、マッピングやタスクの割り当てなど、より高度なプログラミングトレーニングを実施する予定です。Gábor Miszler氏は次のように述べています。「辛抱強く、誠実に意思疎通をしたことによって、従業員にロボットとの協働を受け入れてもらうことができました。ロボットを使用し始めると、彼らはこの技術が施設にもたらす価値を実感することができました」。

MiR Fleetを使用した効果的な管理

MiR Fleetソフトウェアは、ロボットフリートの管理とスタッフのトレーニングを容易にします。基本的なセットアップとプログラミングの作業が完了すると、従業員は使いやすいインターフェースを通じて、毎日AMRの導入方法を簡単に習得できます。このソフトウェアは、任務の管理と優先順位付け、特定のエリアで作業するロボットの動きの調整、充電レベルのモニタリングを同時に行います。

グローバルな協力

MiRロボットを使用しているTE Connectivityの拠点は、エステルゴムだけではありません。グローバルな協力を通じて、ハンガリー工場を含む別々の拠点で実行されている自動化プロジェクトが、現地のチームによって監督・評価されています。

TE Connectivityの技術担当VPであるRoberto Lu氏は、次のように述べています。「MiRロボットが持つ最大のメリットは、フロアに特別なマーキングをしたり誘導用のハードウェアを設置したりしなくても移動できるため、当社の100か所以上の拠点における、急速な変化の激しい環境に合わせて簡単にプログラミングし直せることです。エステルゴムは、AMRプログラムの最も重要な拠点の一つです。エステルゴムのスタッフは、素晴らしい仕事をしてくれています」。

未来への投資

TE ConnectivityとMiRのパートナーシップには、屋内マテリアルハンドリングプロセスの完全な自動化を目標とする、さらなるロボットプロジェクトが含まれています。

ロボットはシームレスに動作し、プログラミングが容易で、面倒なタスクから作業員を解放します。その結果、屋内物流プロセスのスピードが大幅に向上しました。Miszler氏は次のように述べています。「MiRロボットを通じて当社が未来に投資し、非常に良い決断をしたことは明らかです。当社の成果は、自動化による拡大を大きく後押ししてくれます。現在建設中の新しい生産ホールは、すでにロボット用に最適化されたレイアウトで設計されています。当社は、自動化された射出成形技術を拡大し、ロボットをより多くの用途に導入することで、マテリアルハンドリングと倉庫管理をさらに自動化したいと考えています」。