TB Spain Injectionが2台のMiRロボットで生産量の大幅な向上を実現

単一材料、二元材料、三元材料の射出成形を通じた技術的精密部品の製造を専門とするフランスの多国籍企業グループ、TBIのスペイン工場は、材料の屋内搬送用に2台のMiR200™を設置し、生産オペレーターの生産性を向上させただけでなく、節約した空間で射出機械の数を増やすことに成功しました。2台のロボットは毎月約100kmを移動するため、同社は配送エリアでの価値の高いタスクに2名の倉庫技術者を割り当てられるようになりました。

問題とソリューション

TB Spain Injection(TBSI)は、自動車業界における射出成形によるプラスチック材料の変形を専門とする企業であり、フランスの企業グループであるTBIに属しています。スペイン北部のビーゴに位置するその工場では、グループPSA、フォルクスワーゲン、ルノー・日産、フォードが生産し、車両に組み込まれる自動車のシート、電気配線、エンジンルームの部品を形成する製品を製造しています。

40~50名の従業員を有する同工場は、15台のプラスチック射出成形機、溶接機、部品組み立て機のほか、原材料および完成品用の倉庫を備えています。生産ラインは1日3シフトで、週5日稼働します。工場ディレクターであるManuel Canitrot氏にとって、「ファクトリー4.0」の流れに沿ってプロセスの自動化、デジタル化、制御、管理を可能にする技術を導入することは、同社の競争力を強化し、製品の品質と信頼性を向上させるうえで、重要な要素となっています。

Manuel氏は次のように述べています。「生産に有用な空間を確保し、実際の生産面積を最適化して、現在ある同じ工場現場の空間により多くの機械を導入して生産量を増やすため、当社は工場内での機械の配置と材料の流れを合理化する必要がありました」。

梱包材の供給は、以前は手作業で行われており、2名の倉庫作業員がフォークリフトトラックを使用して、箱が入ったパレットを生産エリアに搬送し、オペレーターがアクセスできるよう機械の横に置く作業を担当していました。オペレーターが常に必要な材料を入手できるよう、必要以上の材料を配送することが頻繁にあったため、機械の周囲にパレットが集積し、フロア面積を占有して、オペレーターが誤ってつまづく危険を生んでいました。

彼は次のように付け加えています。「当社は生産エリアと倉庫間の屋内ロジスティクスプロセスを自動化する方法を探っていました。このため、2台のMiR200™ロボットの導入を決定しました。自動棚を備えたロボットは、倉庫から材料をピックアップして生産ラインに搬送し、梱包済みの完成品を載せて戻ります」。

もちろん、設定と使用の容易さ、柔軟性、自動化ニーズを満たしてロボットを適応させられる機能、そしてMiRが提供するサポートおよび支援など、MiRロボットを選択するにいたった他の重要な理由も存在します。

Lucia Regueira

物流技術者

材料の屋内搬送の自動化

こうして、MiR200は倉庫から生産ラインに梱包材を搬送するプロセスに統合されたため、タスクが完全に自動化されています。現在、作業員が材料の配送を必要とする場合、材料の位置をロボットが特定するための情報を含むQRコードを使用し、PDAデバイスを通じてロボットを呼び出します。ロボットは倉庫の正しい棚に移動します。材料はロボットの棚ユニットに自動的に積載され、ロボットは材料の配送先である生産地点への移動を開始します。

この方法で、生産ラインの作業員は必要なときに必要なだけの材料を受け取れます。TBSIは、機械オペレーターの周囲のフロアにパレットを置くことがなくなり、空間、作業の安全性、身体的負担の面であらゆる改善がもたらされました。

Manuel Canitrot氏は次のように述べています。「パレットを使用しないため、フロア面積を確保でき、生産機械の数を9台から現在の15台へ増やすことができました」。

MiR200ロボットは、TBSIが工場で日々運用する3つのシフトを通じ、24時間年中無休で稼働します。それらロボットが統合されて以来、約500kmを走行しており、同社では、ロボットが1か月あたり平均100kmを移動していると推定しています。これは、人的労働力で表した場合、1日あたり最大16時間を節約していることになり、現在では倉庫内でのより価値の高い作業に割り当てられている2名のオペレーターの作業量に相当します。

工場の物流技術者であるLucia Regueira氏は、次のように述べています。「人的資源を最適化し、スタッフの労働時間をより生産性の高いタスクに割り当てることができるため、これは非常に重要です。さらに、フォークリフトが工場の通路を通過することで作業現場での事故のリスクが高くなっていたため、モバイルロボットのおかげで、作業員にとってより安全な環境を整えられました。MiR200は、高い安全性能と、作業員や物体など、経路上の障害物を検出できる機能を備えています。自動的に停止するか、障害物を回避できるため、関連した事故のリスクを最小限に抑えています」。

オペレーターが工場でロボットと協働し始めたとき、どのような企業でも変化が受け入れられるまでに多少の時間がかかることから、ロボットは当初それほど歓迎されたわけではありませんでした。しかし、工場の従業員はロボットがどのように機能するかや、ロボットによって効率性および生産性の点でもたらされるメリットを目の当たりにしており、MiRロボットを取り扱い、それらとやり取りすることに対して、ずっと前向きになっています。また、AMRがどのように機能し、AMRで何ができるかを理解した従業員自身が、改善のためのアイデアやソリューションを提案するケースもあります。

将来的なロボットの増加

TBSIが当初MiR200について最も関心を持ったのは、そのサイズと積載量でした。同社は工場現場でフォークリフトやパレットの代替としてMiR200を導入し、工場で生産用の空間をより多く確保することを目的としていました。さらに、生産現場と倉庫の間を移動する際には2つのドアを通過する必要があり、同時に、上部の棚モジュールと完成品の複数の梱包間で、かなりの重量物を搬送しなければなりません。

Lucia Regueira氏は、次のように述べています。「もちろん、設定と使用の容易さ、柔軟性、自動化ニーズを満たしてロボットを適応させられる機能、そしてMiRが提供するサポートおよび支援など、MiRロボットを選択するにいたった他の重要な理由も存在します」。

TBSIがMiR200を通じてこれまで得たポジティブな経験に基づいて、同社は現在、工場内の別の場所でパレットトラックやフォークリフトを使用して未だに手作業で行っている、より大きな梱包の屋内搬送にさらに多くのMiRロボットを使用する可能性を検討しています。こうした梱包は、大型の金属製の箱に入れられたパレットで搬送されます。同社は現在、同地域のMiRの販売代理店であるRobotPlusのチームと協力し、寸法や重量に応じて箱を移動できるモバイルロボットを使用した、自動化ソリューションを設計しています。